この法人は、地域の環境特性の理解を深める視点から、市民に対して、環境変化の実態及び影響に関わる情報の提供、地球温暖化時代に有効な新たなライフスタイルや社会システムの提言、身近な素材による環境教育カリキュラムの提案などを行い、最終的に環境と調和した持続的な地域社会の発展に貢献することを目的とする(定款より抜粋)
事業の4つの柱
(1) 環境特性の評価に関する事業
(2) 社会システムと環境教育に関する事業
(3) 環境データの整備に関する事業
(4) 環境保全・調和に関する普及啓発事業
理事長からのメッセージ
名称の由来 ・・ 地球温暖化と法人名称の関係
地球環境とくに地球温暖化の諸問題に関する研究分野では、現在では国際適に「気候変動に関する政府間パネル」(1988年設立)が重要な役割を果たしています。約5年に一度の割合で、世界中の最新研究情報を吟味してレビューした報告書をまとめています。最近では、ネット上で配信されたものを目にすることが一般的になりましたが、その情報量は膨大で、印刷物にすると4巻に細分した分野(科学的根拠・温暖化予測、影響評価・予測、経済対策・政策、データ管理)ごとに、内容が多い分野では約1000ページに及ぶ分厚いものです。
これらの科学的な知見に対して、予想される負の影響の防止策や軽減策を提案する役割を担うのがCOP(地球温暖化防止会議)であり、京都議定書は1997年の3回目の会議(COP3)で採択されました。毎年行われていて、最近は、交渉に参加している開発途上国から先進国に対して「あなた方はすでに開発が進んでいるので良いかも知れないが、我々は発展する段階にあるため足かせをはめてほしくない」といった意見があります。また先進国の間でさえ、自国の事情のもとでの交渉が求められるため、難しい議論になっています。
さて、私たちのNPO法人の名称と少なからず関係のある、ワールド・ウォッチ・インスティチュートは、こうした国際的な地球温暖化問題の解決への潮流のなかで、1994年に、アメリカ農務省出身のレスター・ブラウン博士により設立されました。地球規模の環境変化に対峙する立場を明確に示し、世界のエネルギー、食料、人口、水資源など広範な領域で提言を続けた最初の組織です。このインスティチュート(研究所)も、毎年大部な報告書を発行してきました。
今では、レスター・ブラウンは新しくアース・ポリシー・インスティチュートを設立して主催しています。ワールド・ウォッチ・インスティチュートも、引き続き活動を続けています。ワールド・ウォッチ・インスティチュートからは多くの著書が刊行されています。レスター・ブラウン著作では、「だれが中国を養うのか?」、「プランB」、「地球白書」など沢山あります。これらの書物は、今となっては地球環境問題を説いた古典といえるでしょう。
NPO法人の活動を行う場合、視野の広さは異なりますが、ワールド・ウォッチ・インスティチュートの存在は参考になります。このため、名称として以前から注目していました。地球規模の代わりに、同じ考えに基づき地域社会を対象に活動する意義は、我々にとっても大いにあるでしょう。そこで、ワールドではなく身分相応の規模として、また地域社会を代表する単位としてシティを考えました。ウォッチは、活動の基本的な姿勢として借りることにしました。次に、インスティチュート(研究所)も借りようかと考えましたが、まずは地域の一画にある公園あるいは緑地に集まって環境問題を考えることから始めることとし、スクエアを採用しました。スクエアの代わりにハウスも良いかと検討しましたが、ウォッチ・ハウスですと、警官詰め所のイメージがあるため使用を断念しました。
こうして、私たちのNPO法人の名称がシティ・ウォッチ・スクエアとなりました。市街地を望む公園や緑地のベンチに座って、人が行き交う風景や季節のうつろいなどを眺めつつ、皆さんとご一緒に環境問題を考えていくことにします。
(2014年1月17日)
設立趣旨書
気候変動に関する政府間パネルなど国際機関の報告書によると、現在進行中の地球温暖化は人間活動が原因であり、地球上のほぼ全域の生態系に負の影響が現れているとされている。加えて最近では、地球温暖化と比較して時間的・空間的な規模が小さい現象である異常気象が頻繁に発生し、地域の環境が複雑に変化する様相が現れている。
これらの環境変化は、人々の生活にもさまざまな影響を及ぼしている。特に人口が集中する都市域では、影響を受ける側の条件も複雑なため、影響の形態も多様である。このことは、影響の軽減を考える際に地域の自然的および社会的特性の理解が不可欠なことを意味している。
こうした状況のもとで、次世代を見通した社会の発展を図るために、地域の環境変化や災害の実態の把握と要因解明、影響の軽減策、環境変化の積極的な活用への提案、情報の共有と連携に基づいた実践、新たな社会システムの提言および環境教育素材の開発などが必要と考えられる。しかしこれまでは、地域の特性に関する理解が不十分であり、総論的な観点に基づいた活動に止まっている。上記の課題や問題を解決するためには、意思を同じくする者の組織的な取り組み、地域情報の効率的収集・発信、活動の成果を一般に提供する際の普及効果、などの点で、特定非営利活動法人として活動することが有効である。
そこで、環境問題に関する諸課題を地域理解の視点から取り組む、NPO法人シティ・ウォッチ・スクエアを設立する。この法人の活動は、地球環境変動時代における地域社会の基礎作りに貢献するものである。