シティ・ウォッチ・スクエア

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02月

簡易ソーラークッカーの紹介

冬の晴天日の正午頃に、簡単に作成できるソーラークッカーの性能試験を行いました。ニコネットつくばの皆さんと筑波大学との協力です。太陽光を効率よく一カ所に集め、その中央部に野外クッキング用の鍋を置きました。設置の様子を左の写真に示します。受光面を太陽の方位・角度に合わせて、1時間程度のあいだ、太陽を追随するようにすこしずつ向きを変えます。30分に一度程度、向きを調整すれば十分です。右の写真は、鍋と受光面の表面温度をサーモグラフで測定したものです、鍋の表面は黒色、受光面は銀色で反射しやすい素材になっています。測定した表面温度のスケールが右図の右側に示してあります。鍋の表面温度は約75℃になりました。同時に鍋のなかの温度も測定したところ、約90℃に上昇しました。風の影響や太陽高度の変化をうまく調整することができれば、米の炊飯が可能になる可能性があります。ここで紹介したソーラークッカーは非常に安価で簡単に作ることができ、ニコネットつくばが考案したもので、サンピースと命名されています。作り方は、下記のURLに紹介されています。なお、ニコネットつくばは、理事の一人である富岡さんを中心に運営されているグループです。

http://niconet.org/wp-content/uploads/2011/03/sun-peace-j20100928_3.pdf


集光する中央部に鍋を置きます。太陽の方位に合わせで向きを変えます。

暖色系が高い表面温度を示します。鍋の表面は黒色でエネルギーの射出率はほぼ1なので、スケールの表示を使えます。反射面は表面が断熱性のある素材のため射出率が小さめです。従って、この画像だけから反射面と鍋表面の温度を比較することはできません。

筑波山周辺の日射量と日照時間の分布(晴天日)

筑波山周辺の斜面に入射するエネルギー分布(左図)と日照時間分布(右図)です。天候は晴れで、一年の平均的な状態を示します。両方とも地形に依存した複雑な分布ですが、筑波山の南麓で斜面に入射するエネルギーはもっとも明るい黄色に、日照時間は平坦地と同じピンク系の色になっています。年間を通して、この地帯が最も日射環境に恵まれていることがわかります。これらのマップは任意の地域を対象にして作成することができます。計算スキームは私たちが開発したもので、国内でも他にありません。国土数値情報さえあれば、描けます。日射条件の良い地域と悪い地域では気候や生態が異なりますが、その実態を把握するために欠かせない情報です。これらの図は、野村(2008)の研究結果から引用しました。

(図の出典 野村昇平(2009):筑波山における日射量の広域分布の推定.筑波大学第1学群自然学類地球科学主専攻平成20年度卒業論文)

晴天日

日照時間の分布

斜面に入射する栄転日の太陽エネルギー

斜面に入射する栄転日の太陽エネルギー

GPSを使ったヒートアイランドの観測

気象要素の面的な広がりを知るために、昔から移動観測が行われています。車や徒歩、電車まで使った研究があります。ここでは、自転車にGPSと温度計を取り付け、あとは適当なスピードで決まったルートを走れば、マップ作成の元になるデータが得られます。この場合、気象要素は気温です。写真と図は、つくば市で実施したもので、自転車に測定装置を取り付けた様子と、筑波センター周辺に現れたヒートアイランドです。東京などの大都市は無理です(車を使っても移動に時間がかかり、現象が変化してしまうので)。ポイントは、GPS記録にも温度記録にも同時に時刻を記録することです。これにより、時刻を軸に測定地点と気温が結びつき、マップ作成が可能になります。詳細は別の機会にまたお知らせします。

GPSと温度計を取り付け、適当なスポードで決められたルートを走る方補です。

GPSと温度計を取り付け、適当なスポードで決められたルートを走る方補です。

つくば市に現れたヒートアイランドです。秋の夜で、建物が集中するセンター中心では1㌔離れると約3℃気温が高くなっています。(吉倉、作図)

つくば市に現れたヒートアイランドです。秋の夜で、建物が集中するセンター中心では周辺より約3℃気温が高くなっています。(吉倉、作図)

2月14日日本時9時の12時間毎の850hPa予想高層天気図

14日日本時9時における12時間毎の850hPaでの予想天気図です。風の情報から地上の南岸低気圧の位置がわかります。寒気の流入も明瞭です。実際の地上天気図はこの予測通りになりました。大雪になることはわかっていたのですが、「陸の孤島」と呼ばれるように大雪に対する備えが脆弱なことが露呈しました。藤沢の中でも都会と郊外など地域によってずいぶん違うと思います。ローカルな情報は今のアメダス情報だけでは不十分なようです。会員の皆様の情報をどのように整理するかも将来楽しみなことです。この情報は地域の農業にも役立てるようになればと思います。

今回は偏西風が大きく蛇行し、寒気の流入と暖気(ウエットな気流)が起きたことにより大雪になりました。被災地の方々にお見舞い申し上げます。引用はHBC専門天気図からです。2週間保存されますので今でも見れます。

2月14日850hPa12時間毎の予測天気図

2月13日21時〜15日9時の地上天気図

前回の投稿でレーダー・ナウキャストの雲分布や移動から2月15日朝7時頃低気圧の中心が上陸したと書きました。

それと関連して、地上天気図データを6時間毎の5枚の地上天気図を送ります。

南岸低気圧が上陸かほとんどすれすれに通過したことがわかります。

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2月14〜15日の大雪について

関東甲信地方で14日夜明け前から降り出した雪は次第に降り方が強まり、14日夜遅くから15日未明頃をピークにして、降り積もりました。甲府地方気象台では積雪115cmで気象台始まって以来120年ぶりの大雪だったそうです。120年前とは明治27年日清戦争が始まった年です。我が家(藤沢市大鋸では15日未明測定)では隣地の芝生で41cmでした。8日の積雪と比べ、少し長い時間かったしかも湿った雪で山沿いで多く積もったようです。なぜこのような大雪になったのでしょうか?

14日夕方のテレビで気象予報士の天気解説では、日本の関東地方東部上空の偏西風が大きく蛇行しているために南岸低気圧の進路が東から北東に向きを変えるといっていました。13日9時に発表された24時間予測天気図の解説の根拠となっています。偏西風の蛇行により湿った暖気が北上し、寒気が引きこまれるように南下したことで長時間にわたって関東で発達した結果大雪となったようです。8日の場合と大きく異るところです。

気象庁のレーダーで5分おきに雨雲(雪雲)の動きを追いかけてみると面白いことがわかります(3時間だけ保存されます)。今回、このレーダーからわかる南岸低気圧の動きとAWS藤沢の湿度、気温変化を関連させてみると面白い?ことがわかりました。

(気象庁レーダー情報の解析)南岸低気圧の周りの雲が回転をしている中心に雲がないところがあり、まるで台風の眼のようです。15日朝6時頃から8時15分頃にその中心が神奈川県に上陸しました(7時25分が中心付近上陸)。神奈川県中央部では7時30分から7時55分には雪雲は消えます。勢力が衰えたかに見えました。しかし7時55分から埼玉県上空の閉塞前線で雲が発達し始め、8時10分〜20分に茨城県南部の塊がさらに広がり激しくなりました。その後8時55分に2つの領域に分裂し、9時40分に雲がない円形領域(眼?)ができました。10時00分には再び帯状(西南西ー東北東方向)に伸びて、すぐに消えます。10時10分〜35分にこの帯の南側に新たに相似的に帯ができます。その帯に直交した北北西南南東方向の(銚子半島方面からと、九十九里海岸からの2つ)雲列が北北西に動いていきます。10時45分には茨城県県中部で雷注意報が出ました。10時55分には塊は茨城県北部に移動しました。

 一連の雲の動きは西(丹沢方面)からの寒気と南岸的気圧の暖気のせめぎあいの結果、上昇気流が生じていると思われます。201402150730-00

気象庁レーダー・ナウキャスト(2月15日7時30分)

(AWS藤沢の解析)2日間の観測グラフを添付します。14日6時すぎに湿度90%超えたあたりから雪が降り始め、気温も0℃以下になります。アジア地上解析天気図によれば、神奈川の上空1500mはー3℃になっています。15日6時頃に湿度100%から急降下、風向きと北風から北北西にかわり、気温は徐々に上がっていきました。実に24時間近く0℃以下の状態が続いたのです。しかも湿った雪でしたから記録的な積雪量となりました。15日7時半ごろ南岸低気圧は上陸して天気は回復しましたが、そのご気温があまり高くならず、寒気が居座り続けたのです。図の下の黄色線の日射量は回復しました。

20140213-2DaysAWS藤沢

2月8日の関東南部大雪の気象情報

2014年2月8日は東京23区では13年ぶりの大雪警報というニュースが流れました。2001年1月27日のことで、都心で8cmの大雪を観測したそうです。

HBCのアーカイブ天気図でみると、低気圧は6日9時頃台湾北部の海域で発生したときは1012hPa、7日3時に寒冷前線と温暖前線を伴う温帯性低気圧に成長し、20km/hで東進しました。同日15時には九州南西部で速度がゆっくりとなり、7日21時には九州南部を通るころ再び東に35km/hと速度を増しつつ8日18時頃低気圧が最も接近した藤沢では風速15m/sの強風で積雪が舞いました。大鋸の自宅で35cmにもなり気温0℃を低下しました。中心気圧が988hPaまで低下したとおもわれます。9日3時には閉塞前線を伴い、30km/hでさらに東進し、6時に関東東方海上で980hPaにまで発達しました。午後には少し中心気圧984hPaに上昇しましたが、次第に向きを北寄りに変えて東北地方はるか沖まで進んだころには再び980hPaとなり、北海道東部から北方四島を抜けてから次第に弱まり12日中には消滅しました。北極を中心とした気温図をみると、7日〜9にかけて寒気の南下によるものです。

下の図はAWS藤沢の観測データですが、8日の0時から急激に気温が低がり始め、気温が0℃以下が19時間ほど続いています。8日の21時頃一時風速15m/秒を超えました。

 

が。1week

2月4日の気温の急降下

藤沢AWSの記録(2月1日~7日)に、2月4日の急激な気温降下が記録されました。未明まで吹いていた南風が北風に変わると同時に気温が下がり始め、24時間で約15℃低下しました。この間風速はほぼ5~10m/sでした。

2月4日の気温急降下