シティ・ウォッチ・スクエア

風に吹かれ、波の音を聞き、土に触れ、地域の環境を知り、未来を考える

TEL.050-5586-0381

〒251-0023 神奈川県藤沢市鵠沼花沢町1-14

10日

筑波山で観測された気温上昇

地球温暖化は、大気中の温室効果ガス濃度の上昇によって引き起こされる現象(温室効果)である。その実態を知るには、例えば都市の気温上昇を取り除いて考える必要がある。これは重要な点で、これまでに世界中でさまざまな研究・議論が行われ、IPCCは、第4次評価報告書のなかで、地球温暖化のトレンドを0.74℃/100年と結論づけた(IPCC, 2007)。都市の影響が及ばないと考えられる筑波山の山頂で、過去100年に及び気象観測が行われてきた。この点に注目し、観測開始以来の気温データを解析して気温変化のトレンドを求めたものが図(中津留, 2011)である。これを作成するためには、気象観測原簿の数値の読み取りとデータベース化、欠測データの補正、日平均気温算出方法の違い(観測時刻の違い)による誤差のチェック、さらに観測場所の変遷など、多くの地道な検討が必要であった。とりあえず見て頂くと、筑波山頂では、東京やその他の大都市、また気象庁が定義している都市の影響が少ない気象官署の平均値(17地点の平均値)のどれよりも気温上昇トレンドの小さいことがわかる。詳細は、中津留ほか(2011)日本気象学会誌「天気」58巻に公表されている。こうした特徴がなにを意味するか?今後、皆さんと考えてみましょう。

(関連文献 中津留高広・林 陽生・上野健一・植田宏昭・辻村真貴・浅沼 順・日下博幸,2011:筑波山(男体山)の過去100年間における気温の長期変動.天気,日本気象学会,58,1055-1061)

筑波山の気温変動と上昇トレンド(他の地域との比較)

筑波山の気温変動と上昇トレンド(他の地域との比較)