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07日

ポスト「京」重点課題4観測ビッグデータを活用した気象と地球環境の予測の高度化

平成28年12月5日(月)に第2回シンポジウム「台風を解剖して、台風と向き合う」に参加してきましたので報告します。

課題責任者であるJAMSTECの地球情報基盤センターの高橋桂子様の趣旨説明のあと、

①琉球大学 伊藤耕介氏 革新的な数値天気予報と被害レベル推定に基づく高度な気象防災「京」〜ポスト「京」は台風予測をどう変えるのか?

強い台風の接近時の気圧予測が大幅に外れたケース:2013年台風13号(60hPa)、2014年台風8号(910→945hPa)をきっかけに→中心気圧が予測より20hPa違うと気圧と風速について修正。水平格子間隔を100mの超解像度で分析。

②海洋開発研究機構 中野満寿男氏 データで振り返る今年の台風:よりよい台風予測に向けて

A「台風の生まれ故郷」B「なぜ1〜6月に台風が発生しなかったのか」 C「発生が遅れた台風が7月末から8月末になぜ多く発生したのか」D「より良い予測のために」

A:台風は海面水温が高い所で発生する

B:1983年、1998年、2016年同様なことが起こっている→海面水温の偏差が高いペルー沖で発生(エルニーニョ現象)西太平洋では1〜3月の雲が少ない(東に寄った)西太平洋の対流が不活発。4〜5月は負のインド洋ダイポール現象JAMSTECのコラムに記載。6月末〜7月末の台風発生数は83年が9個、98年が4個、16年が12個、平年は10(±2.7)である。今年の台風数が少ないわけではない。3,4号は熱帯の季節内変動(MJO:マッテンジュリアンオシレーションで説明できる。7月15日〜28日の地球半球分の赤道付近をチェックすると、気になる3つの塊に気づく。8月5日には日本の南に5号の低気圧の卵(モンスーンジャイアによる)南東に6号の塊。台風10号はアラスカ南海上の上空12kmから低気圧の渦の影響していた。

D全球7kmメッシュで予測することにしている。

③防災科学技術研究所 納口恭明氏 科学実験

A 空気砲(バケツと風船ゴム) B 高層マンションの固有振動(長さの違うスポンジを並べて使用) C 雪崩(発布スチロールの粉を長い雨樋を流す、先端部は舌状に、小さい塊はスピードが遅く、続けて大きい塊を出すと小さい塊を追い越していく)スケールが小さいと怖くないが、大きくなると災害になる話 C 液状化(砂と丸ピン、叩くと液状化)

④海洋開発研究機構 滝川雅之氏 台風と大気汚染:汚染物質が遠くまで運ばれる仕組み

昔の大気汚染は「地産地消」今はアジア(中国)「オゾンを作る素の窒素酸化物の増加」1970〜1980年に急増、以後減少したが再び上昇中。低気圧では前線と大気汚染域が一致する。台風では基本的にきれいであるが、台風の周囲に履き寄せられる。(著者要約:地上で中心に向かって汚染物質が集まり、中心から外に向かって発散し、北側の偏西風で運ばれていく)質問:最近は台風一過にならないことが多いが。回答:偏西風波動と寒冷渦の影響か?20km間隔では台風のエンジン部分がよく見えないので、「京」〜ポスト「京」を活用する意義がある。気象庁では11月から表示を変えている海水温のシミュレーションも利用してもらいたい。

⑤パネルディスカッション 納口恭明、高橋桂子、瀬古弘、佐藤正樹、滝川雅之氏

特に記載するものなし。